『麒麟がくる』第一話感想 果たしてNHKに麒麟はくるか

 

 昨日、いよいよ『麒麟がくる』が始まった。早速、私なりの評価を加えていきたい。

 

オープニングテーマ

 すでに予告映像でも、バックに流れており印象的な曲調で嫌いではない。

 

映像美

 カラフルな衣装をはじ4K映像が話題になっているが、これについては特に何とも思わない。そもそも、大河ドラマは内容が重要なので、何年か前の『平清盛』のような砂埃が飛び交うような汚らしい映像ならばマイナス評価だが、今回はカラフルで別に不満はない。

 

キャスティング

 さて、ここからが重要な要素となる。大物と呼ばれる俳優の方々が次々に亡くなっており、しかも、いわゆる時代劇俳優が少なくなっている昨今、あまり多くを期待できないのは残念だがこればかりはどうしようもない。そんな中での評価となるが、総じてよく健闘したといえるのではないか。

明智光秀長谷川博己):第一印象として声がはっきりしていて好印象。顔つきも上品で知的なイメージが出ている。その反面、やや中性的な感じが否めないが、光秀は柴田勝家のような猛将ではないので、大きな減点にはならないか。

松永久秀吉田鋼太郎):今回、私は全く注目していなかったが、吉田鋼太郎氏の役者ぶりがいかんなく発揮されていたと思う。つまり、松永久秀という人物は、一癖も二癖もある武将として知られているが、この人が演じると、まさに、何かやらかしてくれるのではとの期待値が高まる。さすが、舞台俳優は違う。しかも今回、声優の大塚明夫氏も同じ場面に出演しており、似ていると話題となっている。大塚明夫氏については、メタルギアのスネーク、スタートレックのライカー副長の声で私は育ったので、個人的に好印象。

斎藤道三本木雅弘):主人公とも深くかかわる、序盤の重要人物。見た目からいうといかにもそれらしい髭と熟練者の顔つき、と文句はない。あとは、次回の織田信秀との一戦での振舞い方が楽しみ。

 

ストーリー

 光秀の前半生は謎に包まれている。はっきり言って、制作陣のの思いのままだ。今回は、子供時代を描いておらず、好印象。いきなり、野党との戦闘を見せるあたり、子供のありもしない活躍を見せられるよりはるかに良い。雰囲気もシリアスとコミカルが半々ずつという感じでどちらかといえば、軽快に進む方かな、という印象。しかし、オリジナルキャラクターが足を引っ張っている感じがある。今作は、このオリジナルキャラクターが4人も出ることになっている。農民、戦災孤児、踊り子、医者と多彩で、様々な境遇にある名もなき庶民を描くのは勝手だが、「名もなき」庶民が、とてつもない働きをして「名がある」庶民にならないようにしてもらいたい。正直、彼ら個人の生涯には何の興味もない。過去の大河の悪い癖はなかなか抜けないものだと思った。なぜ、こんなにオリジナルにこだわるのだろうか。勝手な一制作者の暴走で、オリジナルキャラクターが歴史に干渉し、改変するのは、歴史に対する冒とくである。今回の大河では、どの程度の干渉具合か分からないが、いずれにせよマイナス評価は否めない。いつになったら、『独眼竜政宗』を見習って、リアリティあふれる大河を作ってくれるのだろうか。

 

最後に

 今まで主役として描かれてこなかった明智光秀本能寺の変およびその後の光秀の動向というクライマックスが決まっている以上、期待値はいやが上にも膨らむ。また、信長や秀吉とのかかわりをどのように演出してくれるのか、そして、光秀の人格はどのように形づくられていくのか、楽しみは尽きない。演じる役者の方々も現状では好印象である。それだけに、オリジナルキャラクターの登場は残念でならない。願わくは、歴史への干渉を控えてもらいたい。