いだてん第1部完結を受けて

シマ先生の影響力=感動の味付け

    私は、大河ドラマには比較的うるさい方だとよく周囲から言われます。

特にここ数年の大河には随分、ダメ出しをしてきました。

中でも、妙な架空の人物を登場させては、主人公に深く関わり、挙句には歴史に名を刻もうかというくらいの大きな働きをやってのけることが多いのには嫌気がさしていました。

たとえドラマでも少なくとも歴史を取り扱っている以上、ありもしない架空人物の英雄譚(?)を時間をかけて延々とやるのは歴史改変以外の何者でもないと思っています。

少しも興味がわきません。その考えは今も変わりません。

              しかし、です。

私は今回の大河『いだてん』に出てくるシマ先生の必要性についてクドカン氏の意図するところが腑に落ちました。

つまり彼女は物語の第1話から三島家の女中として登場し痛快男児三島弥彦がスポーツをする姿を絶えず目の当たりにしていました。

やがて密かにスポーツに興味を持ち、竹早女学校に赴任し教え子とともに女子体育の萌芽を目の当たりにし、そして、身をもって体験します。

また、プライベートでは結婚もして子供も授かります。

しかし、最後には関東大震災の犠牲者の一人になり短い生涯を閉じます。

シマ先生を通して、あまり描かれたことのない大正時代の女性の立場を知ることができました。

そして何より、彼女は歴史に深く干渉しすぎず、

それでいて、視聴者にとって身近な存在であり続け、

最後に亡くなることで見ている私たちは強い喪失感を覚えます。

この強い喪失感によって、私たちは大震災のご遺族に少しでも寄り添うことが出来るのではないでしょうか。

このシマ先生による感動の味付けはこのドラマに一筋の光を当てる、重要なキャラクターだと実感しました。