『麒麟がくる』第十二話感想 果たしてNHKに麒麟はくるか
嫁がくる
今回は『十兵衛の嫁』ということで、煕子殿が嫁にやってきた。
が、実は、ほとんどこの件に関しては駆け足だった。
それで良い。
あまりダラダラとやられると本筋から離れてくる。
『煕子がくる』ではないのだから。
でも、それなら、なぜ、駒と光秀とのやり取りをあれだけダラダラやったのか。
その辺りの感覚が、歴史を扱うドラマとしての品性に欠ける。
まあ、とりあえず、今回について書いていこう。
まずは、明智光安の子・左馬之助(秀満)が登場する。
今後の光秀との関係が気になるところ。
次に注目すべきは、織田信秀の危篤について。
彼は、病床にあって、信勝に最前線の末森城を与え、一方で信長には後方の那古野城を今まで通り任せると宣言する。
後方の城では何もできない、と不満な信長。
母上の差し金に違いない。父上は母上の言いなりじゃ、と泣く信長。
最近の大河ドラマに登場する男はすぐに泣く。
本当によく泣く。
そして、決まって次に来るのは「よく出来た」嫁が夫をフォローする、という流れ。
この度もご多分に漏れず、帰蝶が信秀の本心を聞きに行く。
すると信秀は、「信長は、若い頃の自分によく似ている。だからかわいい。尾張を任せる。強くなれ」という台詞を言い残す。
それを帰蝶から聞いた信長は満足げな様子。
こんなシーンでも、なぜ、わざわざ、嫁の活躍シーンを出すために、ない話をでっち上げるのだろう。
「女がいないと立ち直れない泣き虫男と非常によく出来た嫁」の構図を信長と帰蝶でやるあたりがNHKの巧妙な、というより見えすいた罠のような気がする。
こういうちょっとしたシーンでも毎度の如く繰り返されれば、視聴者の脳裏に擦り込まれてゆく。
恐ろしい話だ。
だから、世間を見てみれば良い。
こういう擦り込みが繰り返されてきたばっかりに、「情けない男と図々しい女」ばかりになってきたじゃないか。
もちろん、大河ばかりではない。
チャンネルを変えて他のドラマでも如何にこんな構図が多いことか。
本当に嫌になる。
話が脱線したので続きを・・・と言いたいところだが、次の場面では、例の架空キャラクターが3人集結して駒と東庵が尾張や美濃に行くことに。
さて、次のシーンでは土岐頼芸から送られてきた鷹の爪に塗られた毒で危うく殺されかけた斎藤道三が描かれる。
いよいよ土岐家と斎藤家の間の亀裂が鮮明になってきた。
家臣を集めた道三は、皆の前で土岐様と敵対することを明らかにする。
一方で土岐家に内通する息子の斉藤義龍は光秀に、共に父上を倒そうと持ちかけてくる。
その頃、再び、駒が登場し尾張で帰蝶と再会するどうでもいい話が挟まれ、東庵が双六をしに信秀の側に近寄ったところ、信秀はすでに亡くなっていた。
さて、いよいよ、次回は、おなじみのあのシーンやあの人物が登場。
邪魔するなよ、駒!
今週のお題「オンライン」
世間ではインターネットを何かと持ち上げるけど、結局、情報の渦に巻き込まれるだけ。
己自身の頭で考える人間が減った。
それこそ、戦国時代のような世界では、真っ先に殺されるでしょう。
信長は情報戦において今川家より優位に立っていたから、桶狭間で勝利できた、と言いますが、それは、情報を選び抜く優れた眼を持っていたからに他なりません。そして、何より、死を覚悟で突撃したからです。決して、情報に溺れて遊んでいたわけではありません。