『麒麟がくる』第七話感想 果たしてNHKに麒麟はくるか

帰蝶の願い』のあらすじ 

 今回は、帰蝶の輿入れの是非に光秀が苦悩する回であった。

織田家は、美濃の斎藤道三駿河今川義元との争いに加えて尾張の内紛問題も抱えていた。さすがにこれは厳しいということで、斎藤家との同盟を模索する織田信秀

道三はこれに応じ、娘・帰蝶織田家に輿入れさせることになる。

帰蝶自身は輿入れするのを嫌がっており、

光秀の叔父の光安から帰蝶様を説得せよと命ぜられた光秀。

また、道三は光秀に、尾張との縁組の重要性を「海から得られる富がいかに重要か」という点から説明する。

一方で、道三の子、義龍からは道三の独断専行許すまじ、としてこれに猛反対。

帰蝶様になんと言えば良いのだろう…。という心の声が聞こえてきそうな光秀。

そして、帰蝶に対面する光秀。

そこで、帰蝶の口から、いよいよ信秀の嫡男・信長の名前が出てくる。

続けて帰蝶はこう言った。

「見てきてくれぬか。その信長という男を。」

こうして、光秀は例によって変装し、熱田へと赴く。

信長に関する情報を探りに。

そこで、信長の姿を見かける光秀…。

 

 

帰蝶がくる』であってはならない

 

 帰蝶の輿入れの是非をテーマに乗せて、斎藤家の親子の確執、道三の海への憧れ、そして、信長との出会いを描いた今回。私としての見所はこんなところだった。

結局、信長と光秀を巡り合わせるために帰蝶の輿入れの是非を延々と描いていたに過ぎない。

長過ぎる…。テンポが悪い。その理由は、今回の一貫した流れが、帰蝶の輿入れの是非がテーマになっているからに他ならない。もっと言えば、戦国時代の輿入れはズバリ、女の悲劇を物語るのにうってつけの話題なのである。つまりは、今回はかわいそうな帰蝶物語だったのだ。そう、『帰蝶がくる』を見せられていたのである。

「周囲の男たちが一人の女性の結婚について、あれこれ意見する。肝心の女性の方は結婚したくないと言っているのに彼女の思惑など完全に無視。結局は、男たちの言いなりになる他なく、生贄として結婚させられるハメになるかわいそうな女性。これぞ悪しき男尊女卑の最たる例だ。」と、こんなことを描きたかったとも言える。やがて、「男たちの理不尽な要求」にもかかわらず、「粛々と嫁ぐ女性」の姿を描いて、女性を持ち上げ、女性視聴者を獲得したいとの下心があるような気がしてならない。そうでないというなら、なぜ、まるまる40分余りを費やして、輿入れ話を引っ張るのだろうか。

女性視聴者には不本意だろうが、戦国時代は現代とは違う厳しい時代だった。天下布武を唱えた信長に代表されるように、当時は、『武』がないとたちまち敗者に成り下がり、すべてを失うことになる。いずれの大名も皆、武力をもって這い上がろうとした。その武力を行使するのは男たちなのである。非力な女性に発言権などない。世に長い歴史をもつ国は、こうした経験を多かれ少なかれ必ずもっている。そう、つまり、女性は『戦の道具』に過ぎなかったのである。現代からするとおよそ受け入れ難い考え方だろうが、弱肉強食の時代には有効な考え方であった。

と、くどくど私に説明されなくとも、多くの視聴者はご存じだろう。

にもかかわらず、NHKは毎度の如く、輿入れにまつわる女性の悲劇をじっくりと描こうとする。

今回も例外ではなかった。

何か作為的なものを感じるのは私だけだろうか。

また今回は(今回も、というべきか)御丁寧に、女性である架空キャラ・駒が、光秀の母に、身分違いのかなわぬ恋を匂わせるシーンも挟んであった。光秀が来て、母の見ている目の前で、わざとらしく喜んで見せる駒の二流・三流の演出には、もはや、ため息しか出ない。加えて、恋愛に敏感な現代人が一人混じっている感覚にも襲われる。『タイムトラベラー・駒』と呼ばせていただきたい。

 

 

今週のお題「うるう年」

 

本日の一句

 

4年前

うるう大河は

真田丸