それは、やはり、あの、『サクラ』だった……
次々と明らかになっていく新サクラ大戦。
第2回の帝劇部通信では戦闘パートを中心にキャラクター紹介、上海華撃団の存在、さらには発売日、予約特典などが紐解かれた。
中でもやはり注目はゲームの出来を左右する重要な要素の一つであるところの戦闘パートだろう。
まさか、アクションになっているとは…はっきりいって予想外だった。
どうも社内でも守旧派と新派で激論が交わされたようだ。
結局、根っからの古株ファンだけでなく新たな今の若い層にも受け入れられるような作品を作りたいとのことでアクション化したようだ。
ゲームにおいて戦闘パートとは主人公たちが目に見えて活躍する、彼等の見せ場である。
だからこそ、プレイヤーもそのキャラクターに魅せられ、より深くゲームに没入でき、至福の時間を過ごせるのだ。
今回、ゲームの命とも言われる戦闘パートにメスを入れたことになる。
以下では、過去作に触れながら、この方針転換ついて考えてみたい。
サクラ『無双』ではない
さて、サクラ大戦シリーズでは一部を除き、戦闘パートはいわゆるターン制シュミレーションであった。
サクラ大戦のシュミレーション部分というのは普通のシュミレーションゲームに比べていくらか単純化されていた。
例えば、主人公たちには経験値やレベルの概念がない。
それに、彼等が乗りこむ光武の装備をいろいろ変えてみたり…ということもできない。
代わりに派手な必殺技で敵を蹴散らしたり、主人公が他の任意の隊員をかばうなどして信頼関係を構築するのだ。
シュミレーションの醍醐味である戦略性や育成よりも演出や仲間との絆が前面に出ていた。
普通のシュミレーションゲームなら受け入れがたいとも思われるが、サクラ大戦では受け入れられた。
それはサクラ大戦が一つの作品として仕上がっていたからだ。
オープニングがあり1話完結のストーリー構成で次回予告まである。
もはや戦闘パートすら劇の一部だった。
だからその戦闘パートの育成や戦略性を楽しむというよりは『サクラ大戦』を楽しみたかった。
数値化されたキャラクターのパラメータや無機的な光武に割く時間よりももっとキャラクターに寄り添って作品自体に集中したかったのだ。
私はあえて言いたい。
サクラ大戦では本格的なシュミレーションは求められていなかったのだ。
それが証拠に、サクラ大戦5ではシュミレーション部分がやや長大になりテンポが悪くなってしまったとの批判が少なからずあったほどだ。
サクラ大戦においてはそこまで戦略性をむき出しにした育成型シュミレーションでなくとも成功を収めていた、と言えるだろう。
とすれば、今回、戦闘パートがアクションになってもサクラ大戦の演出の力をもってすれば、決して『サクラ無双』にはならないだろう。
演出の一環であったシュミレーション部分がアクションに代わっただけであり、演出さえしっかりとしていれば、今までと大きく異なることはないと推測する。
私がこう思うのは新サクラ大戦の演出の力を信じているからだ。
トレーラーに見る演出の力
(「セガ ムービーチャンネル」からの引用)
今回新たなトレーラーがお目見えしたが、これがなかなか見ごたえがあり、要所要所でメインヒロインの天宮さくらが力強く叫んでいる。まさに、これぞあの『サクラ大戦』なのだ。
声の質、張り、音程…この声に20年前のサクラ大戦が蘇ったと確信した。
佐倉綾音さんの声は横山智佐さんと同じく本物の『さくら』の声を私の心の中に響かせた。
歌も声優もサクラ大戦にふさわしい最高品質の素材が惜し気もなく投入されたこの『新サクラ大戦』の演出の力は長い月日を経た今でも健在なのだ。